腰痛は生涯で成人の約80%が経験すると言われていて、1/3は1〜5ヶ月以内、残りの1/3は6ヶ月以上症状が継続しているとされており、なったことがない人を探すのが難しい時代になってきました。
そんな腰痛ですが、実は非常に危険な腰痛の場合があります。
たかが腰の痛みと思っていたら重い病気に発展する場合もあるので、慢性の腰痛と見極めなくてはいけないのですが、普通の人はわからないですよね。
ヨーロッパ腰痛ガイドライン
ここで役立つのがヨーロッパ腰痛ガイドライン中の腰痛診療の「レッドフラッグ」。
ヨーロッパ14か国から専門家が参加して作成したもので、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリスが参加しています。
理学療法士さんの人はこのヨーロッパ腰痛ガイドラインをオススメし、使用する人が多いらしいですが、理由は以下のとおりです
・急性腰痛だけでなく、慢性腰痛にも踏み込んで取り上げている。
・腰痛の予防法が記してある。
・政治的な影響の度合いが低い。
・エビデンスに基づいて『こういう時は、こうすることを薦める』という具体的な『現時点で最も適切な勧告』
ということで、日本版のガイドラインにないことがしっかり書かれているそうですね。
これまで腰痛は、物理的・構造的・生物学的な損傷として扱われ(脊椎の損傷モデル)、ヨーロッパの場合では、生物的・心理社会的な要因からくる痛みの症状としてとらえ、そのタイプごとに、『勧告』を出しています。
内容
こちらがそのヨーロッパ腰痛ガイドラインのレッドフラッグ(生物的な要因)。
- 発症年齢が20歳未満か55歳超
- 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
- 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
- 胸部痛
- 悪性腫瘍の病歴
- 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
- 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ
- 全般的な体調不良
- 原因不明の体重減少
- 腰部の強い屈曲制限の持続
- 脊椎叩打痛
- 身体の変形
- 発熱
- 膀胱直腸障害とサドル麻痺
実物はこちら、英語で書いてあります。
これらに当てはまると、悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群の可能性があることになりますが、患者数としては全腰痛の5%以内。これを低いと見るか高いと見るか。
ただ悪性腫瘍と解離性大動脈瘤などで医療機関へ通い続けると、ドツボにハマります。
そうなった根本的原因を自分に向けずに環境や他人のせいにすると一生通い続けることになるので、例えば解離性大動脈瘤になったのは動脈硬化や高血圧が関係していると言われるが、何故そうなったのかを自身で考えることが重要であり。
原因を自分側に置き、生活習慣でそうなった食生活や運動、考え方でどこか正さねばならない所がないかを探すのが、治療の近道です。
「なんでも病院に行けば治るという思考だとよくないよ」ということですね。
上記の内容を見てもわからないという方、腰痛関係なく東洋医学の人でも認める病院に行くべき一覧はこちら。
- 心肺停止(蘇生の可能性あり)
- 交通事故などの重症外傷や骨折など
- 溺水、誤飲、毒物中毒など
- 感染症の悪化(一週間以上たって悪化してくる感染、肺炎などの可能性あり)
- 喘息重責発作(ヒューヒューして息が苦しい)
- 手足の麻痺や神経麻痺と思われるもの
- 意識障害(けいれんなどを含む、子どもはこれが最も怖い)
- 吐血と大量下血(痔のちょっとした出血なら不要)
- 便がまったくでない(腸閉塞の可能性あり)
- 無尿(腎障害や癌などにより急速に危険になる)
- 目が見えない、耳が聞こえないなどの急性症状
- 急な強い胸痛や腹痛や頭痛(急なというのがポイント)
- お産にかかわる急な腹痛、出血など
内海聡先生の基準が一番しっくりくるので参考にさせていただきました。
ただこちらも、対症療法後に病院にかかり続けることはまたドツボにはまるので注意、「病院では対症療法はできても治療や治癒はできない」と頭の片隅に入れておきましょう。
まとめ
腰痛の原因はさまざまですが、絶対に治らない症状ではありません。
私も腰痛で悩んでました、しかし身体の使い方や自分で歪みを治す方法を知ってからはほとんど気にならない状態まで持っていけました。
諦めずに根本的な原因を見つけてアプローチしていけるといいですね。