ギターやベースを弾いている時に余計な力が入ってしまって上手く弾けない時がありますよね。
緩めようと頑張ってストレッチして、「よし、これで大丈夫!」と意気込み、再び弾いてみてもやっぱり指がうまく動かない……
社会人になり疲れ果て、やっと趣味のギターを弾けると喜び手にする。しかしデスクワークで使い込んだ腕と手で弾くとどうしても力んでしまい、弾きたいフレーズが奏でられないということは私も昔何回もありました。
そんなときは、腕や指の動きそのものを変えようとする前に、まず第一に、頭と背骨の関係を自由にすると、腕も指も楽になって演奏できるかもしれません。
以前ブログで「演奏者のための健康法、アレクサンダーテクニーク」と言う記事を書きました。
簡単に説明知るとアレクサンダー・テクニークとは・・・
アレクサンダー・テクニーク(Alexander Technique)とは、脊椎に沿って固めていることに始まって手足も縮めている、不必要で有害な固めや縮め(姿勢を伴う行動、振る舞い、習性)に気づき、それを抑制し、その代わりに脊椎に沿って広がることで、手足も伸び広がるようになり、健康と健全性が増進する、あるテクニーク(すべ)のことである。
Wikipediaより引用
アレクサンダーテクニークの中で重要な原理であるプライマリーコントロールを意識する事が大切と述べましたが、今回はこちらを詳しく説明したいとお願いします。
頭と背骨の連動
アレクサンダー・テクニークは頭と背骨に大きく注目します。
脊椎動物はまず頭が動き、身体がついていく、という感じで働いている。
猫がジャンプするときを思い浮かべてください、頭と背骨がバネように伸びながらジャンプしますよね。頭と背骨が動いて、それに四肢が動いていきます。
立っている状態で前屈してから起き上がる動作のとき、おそらくほとんどの人が身体が先でその後、頭を上げていると思いますが、実は先に頭を上げながら身体を上げていくほうが、負担がなくキレイに上げられられます。
頭と脊骨をバラバラに見るのではなく、相互関係がしっかりあると認識していくことが重要だと私は思います。
頭と背骨は身体の末端までの動きに関して大きな影響力を持っているという認識していく。まずはここをしっかり頭に入れてスタートしていきましょう。
首が楽なことが大切
猫背で首が前に出ると、頭が背骨にプレッシャーをかけることで、背骨全体が縮まり、全身の動きが滞りやすくなりますが、プレッシャーが無ければ背骨は本来の長さのまましなやかに動きます。
「しなやかさ」これが楽器を演奏する上でとても重要なのは、演奏者なら何となくわかりますよね。
演奏が上手な人は力で弾くのではなく、力を入れる抜くが体感覚レベルで出来ているのでしょう。
そして「首が楽に」と思い、頭が動けると、そして背骨全体には長さがあることを思い出すと、それだけで意外にも腕に余計な力が抜けて、指が動くようになります。
もし、今楽器を持てる状況であれば早速やってみましょう。
どんな楽器でも構いませんので、いきなり引く前に先程言ったことを頭のなかで想像し、一呼吸して弾いてみてください。
これはボーカリストでもどうように効果があります。
首が楽になり、背骨のしなりが上手く機能すると、呼吸器系と関連する胸椎(胸の後ろの骨)の可動も良くなり、酸素が出入りしやすい身体を作り上げることが可能です。
また、ギタリストやベーシストの人はこちらも演奏前に取り入れると更に向上するかもしれませんね。
いい姿勢のパフォーマンスと悪い姿勢のパフォーマンスの違いを分かりやすくするために、一度頭を背骨の方へ押し付けるつもりで首をすくめてください。
そして声を出してみましょう。楽器を持っている人は、首をすくめたまま楽器を構えてみてください。
では今度はすくめるのをやめて声を出してください、すくめるのをやめて、楽器を構えてください。
実際にやるとわかりますが、大きな違いがあります。
首の神経が腕を支配している
ちょっとアレクサンダー・テクニークの概念から外れるかもしれませんが、頚椎(首の骨)の神経がどのように腕や指に影響があるのかを知っていると、とても役に立ちます。
それに友達の演奏者から「そこまで考えたこともなかったし、知らなかった!」とちょっぴり自慢になるかもしれません(笑)
デルマトーム
この図はデルマトームと言いますが、専門家の人でないとおそらく見たことも無いでしょう。日本語では「皮膚分節知覚帯」というらしいですね。
これを見るとどの神経がからだのどの皮膚の領域の感覚を支配しているかが分かるのです。
この図の使い方は簡単。
もし親指にしびれが出たとしましょう、この図を見ると青色の「C6」と繋がってますね。
そうなると、この親指のしびれの原因は、頚椎(首の骨)の6番目に何らかの障害がある可能性があると推測できるのです。
- 第6頸神経 (C6) 親指側
- 第7頸神経 (C7)人指し指と中指
- 第8頸神経 (C8) 薬指と小指側
首のヘルニアや頚椎症の場合はほぼ必ずこれらを参考にします。もし自分の指のにしびれがでたらこちらを参考にしてみてください。
察しが良い人は「首の骨は7つしかないのに、何でC8まであるの?」と疑問に思ったかもしれませんね。
簡単に説明すると第7頚椎(C7)と第1胸椎(T8)との間から出ている黄色い管のようなのが、C8という事になります。
難しい話はここまでにして、ようするに、首の影響が腕や指に大きく影響していきますよということです。
何か自分の腕に症状が出た時、原因不明というのが一番不明で怖い。筋肉だけではなく、神経まで視野に入れると早い改善の一歩になります。
まとめ
- 頭と脊骨をバラバラに見るのではなく、相互関係がしっかりあると認識していく
- 首と脊骨が楽になると、脱力して演奏家できる
- 指が動きにくいのは筋肉だけでなく神経も大きく影響している
楽器を演奏している方は是非とも今日から実践してみてください。
演奏者のための はじめてのアレクサンダー・テクニーク 〜からだを使うのが楽になる〜