- ギターやベースを弾いていると指や手首が痛い
- 痛くないのに指が思うように動かない
- 弾こうとすると指が握ってしまう。
一度こうなってしまうと楽しんで弾く事さえ出来ず、私生活にも影響が出る場合もあります。
わたくしもギターを弾く時に薬指がカクカクしものすごく弾きにくく、小指を使ったフレーズなどは右手と左手が合わず音が詰まります。
そうならないためにどうすれば良いか知る事はとても大切です。
ギタリストでもあり鍼灸師でもある腱鞘炎、手指運動障害の研究治療を専門としている宮原一浩先生の説明を引用して解説していきましょう。
目次
腱鞘炎やバネ指とはどんな状態か
そもそも腱鞘炎とは何か、バネ指とはどのような状態からなるのか。意外に知らないギタリストやベーシストが多いと思うのでここでは少し細かく説明します。
いわゆる「腱鞘炎」についてですが、「腱」(けん)というのは、筋肉の末梢であり、それが収束して堅く強靭になっているところをいい、隣の骨に付着しています。腱と腱を包む鞘が摩擦によって腫れてくる炎症症状を特に腱鞘炎とよんでいます。炎症すれば痛みを持ってくる。悪化すれば膨れて太くなってくる。伸ばそうとしたり曲げようとすると痛みを発するが、更に数ヶ月一年と長引いてくると、その状態は固まってきて動き難くなって、時には急に引き伸ばしたりすると音を立てる「弾発指(バネ指)」という状態になってくるのです。腱鞘炎の慢性化したものと考えて下さい。
普通の方であれば腱鞘炎になり慢性化しバネ指になり、「痛みが無くなって良かった」となりますがギタリストやベーシストはそうではありません。
痛みが消失し弾けるようになったとしてもバネ指により指が思うように弾けなくなります。
なった事がある方は分かると思いますが、これがかなりのストレスなのです。私はバネ指がきっかけで何回もギターを止めようかと思いました。
そして厄介なのが「治そう!」と思い整形外科に駆け込んでも先生からこういわれるでしょう。
先生「日常生活に支障はなさそうですね、異常なしです。」
バネ指の症状
バネ指には医学的に3段階に分ける事が出来ます。
初期段階・初期症状
- 指の跳ね返りが微弱
- 指を動かすときのみ痛みを発症
- 親指の付け根などに違和感
※日常生活レベルでは支障をきたさない段階です
中期・末期段階の症状
- 曲げた指が戻りづらい
- 指の跳ね返り症状を発症
- 指の屈伸が困難
- 痛みがやや強い
※日常生活にも徐々に支障をきたし始めます
末期段階の症状
- 指の屈伸が全く出来ない
- 自力での指の運動が出来ない
- 無理に動かすと激痛が走る
※日常生活にかなりの支障を及ぼす状況です。
初期段階、中期段階までは保存療法で対応出来ます。しかし末期段階まで進むと手術療法でしか治療が難しくなるので早めの対応が必要です。
ちなみに慢性化した状態の治療は長い期間が必要で、おそらく早く治療したいために保存療法(完治率は約30%〜40%と言われており加齢に伴い完治する可能性、確率は低くなる)より手術療法を選ぶでしょう。
基本的に保険適用されるのでもしプロとして活動してましたら手術即決ですね。
しかし手指の手術というのは大変難しく、最初に適切な治療を受けなかったことにより正常な手の機能を回復することができなくなる可能性もあるので担当医は豊富な知識を持ち確かな技術がある先生を選びましょう。
ギタリストやベーシストのバネ指の症状
バネ指にならないためには腱鞘炎になった時の早い対応が必要でり、自分の指がどんな状態にあるのか確認する事により最悪の自体を防ぐ事が出来ます。
- 痛み
- しびれ
- むくみ
- 動かしづらい、カクカクする、変な動きをする
このような症状が出た場合には原因は基本的に「使い過ぎ」なので休ませてあげるのが懸命です。
わたしは前兆が出ていたのにも関わらず気合いで練習してバネ指になってしまったため、「早く知っていれば・・・」と後悔しています。
そして一番警戒しなければ行けない事は弦を抑える側の指が動きづらい、変な動きをする時です。
- 小指がカクカクする。
- 薬指、小指が巻き込んで握ってしまい、指板上に出にくい。
※この巻き込みは、ギターの他、ピアノ、バイオリン、フルート、クラリネットにも多い症状です。 - 2とは逆に、指板を押さえようとすると中指、薬指が伸びきってしまう。
※「コード弾き」の多いロック、ボサノバ、ジャズ系の方に多い症状です。 - 和音を押弦して離そうとしたら、例えば薬指だけ上がらない。
- 指板を挟む(セーハする)と親指の手の平側の付け根に痛みがある。
または、朝起きた時に親指が固まっていて、無理に伸ばそうとすると痛みが ある。同様に、セーハ時に人差し指の付け根(手の平にかかったところ)に痛みが出る。 - 手首の甲が痛い、腫れている。
- 指の甲側の第一関節(しわのあるところ)が曲げると痛む。または、圧すと痛む。更に、強く指を曲げようとすると痛くて十分曲がらない。
これらの症状が見えたら悪化するまえにすぐに対策を打ちましょう、知らずに練習不足だと試行錯誤して弾いてるとさらに酷くなる場合があります。
コードを抑える時やストレッチフレーズを弾く時に薬指と小指を無理に力んで押していた為に慢性化したバネ指になることも多いので注意が必要です。
もしバネ指になったら
「バネ指になったからもう上達出来ないんだ・・・」
いえいえ、まだ間に合います。
これ以上悪化しないためにも原因追及して2度と起こらないようにしていきましょう。
弾き方が原因
薬指と小指を無理して弾いている
薬指は「死に指」と言われており、構造上動かしにくいのは当たり前なのです。弾くポジションを変えたりフォームを変えたりして対策しましょう。
なら薬指と小指はあまり使わない方が良いのかと言うとそれは話がまた変わります。
無理せずしっかり練習していくと薬指と小指は綺麗に独立して上手く動かせるようになりますので、そうすると弾けるジャンルやフレーズの引き出しは増えていくのでコツコツと励むといいかと。
弦高が高すぎる
弦高が高くなると張力が強くなり抑えにくくなります。もちろん高い方が好きという人もいるかと思いますがバネ指が酷くならない為には弦高を低くする事をおススメします。
私もバネ指対策で弦高は低くしており、おかげで指のつっかかりはだいぶ減りました。
同じフレーズを弾く
普通の人からするとオイオイとツッコミたくなりますが、バネ指の方もでない方も注意しなければなりません。宮原先生はメカニカルなトレーニングは指に良くないということで推奨していません。
フレーズを練習する場合は弾きやすいテンポを中心に弾きづらいテンポを加えるイメージで取り組むと良いようです。弾きづらいテンポを熟知し、そのテンポとの差を平にするように練習。
一番やりやすい確実にできるようなテンポを設定し、その前後±20のテンポで練習を行なうと良いと勧めております。
同じフレーズと言う事は同じ筋肉を酷使している訳なので違和感が出たら指を休めて上げる事が大切です。
まとめ
プロのスポーツ選手も必ずストレッチしてから始めます。バネ指にならないためにも本気でいきなり楽器を弾く前にストレッチなどをし血行を良くしてから始めましょう。
フォームも悪ければ身体に負担がかかりやすくなるので脱力しずらい場合は鏡を見ながらチェックする事をおススメします。
1回バネ指になると弾く事が楽しく弾けなくなります、音楽Lifeを楽しむために自分で出来る事は一つ一つ実践していくといいですね。